平成１２年１２月１６日

1. 　本日、金融再生委員会は、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律（金融再生法）第８条に基づき、信用組合関西興銀及び東京商銀信用組合並びに朝銀青森信用組合、朝銀宮城信用組合、朝銀島根信用組合、朝銀広島信用組合、朝銀山口信用組合、朝銀福岡信用組合及び朝銀長崎信用組合に対し、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分を行った。
   
   
2. 　関西興銀については、近畿財務局による検査（11年３月末基準）の結果、債務超過と見込まれた。当該検査の結果を踏まえた本年６月末時点の財務状況について、累次にわたり同財務局により報告徴求が行われたところ、同組合からは検査結果と大きく異なる自己査定に基づく財務状況の報告がなされたが、検査結果を踏まえた必要な償却・引当を適正に行えば、大幅な債務超過であると見込まれる。
   　こうした状況の下で、同財務局は、債務超過を解消するための自己資本充実策等について累次にわたり報告を求めてきたところであるが、同組合側は債務超過ではないとして、検査結果通知から３か月余りが経過した今日においても、同組合から具体的な実現性のある自己資本充実策が提出されていないことから、金融整理管財人による管理を命ずる処分を行うこととしたものである。
   
   
3. 　東京商銀については、関東財務局による検査（11年３月末基準）の結果、債務超過と見込まれ、当該検査の結果を踏まえた本年６月末時点の財務状況について累次にわたり同財務局により報告徴求が行われていたところである。
   　昨日、同組合より、金融再生法第68条第１項に基づき、「その業務又は財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがある」旨の申出があり、当委員会としては、同組合からの申出及び同組合の財務状況を踏まえ、管理を命ずる処分を行うこととしたものである。
   
   
4. 　いわゆる北朝鮮系信用組合（朝銀）については、昨年５月に13朝銀が破綻公表したが、同時に４朝銀が受皿となる構想が出され、朝銀青森及び朝銀宮城は朝銀北東に、朝銀島根、朝銀広島、朝銀山口、朝銀福岡及び朝銀長崎は朝銀西にそれぞれ事業譲渡を行うことを予定し、預金保険法に基づく適格性の認定の申請が行われていた。
   　これら７朝銀の事業譲渡について、適格性の認定に係る審査を行ってきた結果、これら７朝銀の破綻に至るまでの間の業務運営の状況、及び、このまま破綻処理を進めた場合に業務運営や責任追及等について十分な対応が図られるかといった懸念もあること等を総合的に勘案し、今般当委員会において金融整理管財人による管理を命ずる処分を行い、業務運営や責任追及等に万全を期するとともに、破綻処理の透明性を高めることが必要と判断したものである。
   
   
5. 　今般の処分に伴い当委員会は、金融再生法第11条に基づき、別紙の通り関西興銀、東京商銀及び上記７朝銀（被管理９組合）の金融整理管財人を選任し、併せてこれら金融整理管財人に対し同法第14条に基づき被管理９組合に係る業務及び財産の管理に関する計画の作成を命じたところである。
   
   
6. 　今般の措置により、被管理９組合の代表権、業務の執行並びに財産の管理・処分権は金融整理管財人に専属することとなり、各組合は金融整理管財人の下で、今後上記の業務及び財産の管理に関する計画に従った適切な業務運営に取り組むこととなる。
   　また、資産劣化防止の観点から、金融庁長官より関西興銀及び東京商銀に対し、協同組合による金融事業に関する法律第６条第１項において準用する銀行法第26条に基づく業務改善命令を発したところであり、両組合においては、この命令を踏まえ、適切な業務運営を行っていくことが求められる。なお、既に当該命令が発出されている７朝銀についても適切な業務運営が図られていくものと考えている。
   
   
7. 　金融整理管財人に対しては、関西興銀及び東京商銀の受皿金融機関を極力早期に見い出すことを期待しており、当委員会としても両組合の金融整理管財人を最大限支援してまいる所存である。
   　また、金融整理管財人による管理が終了するまでの間は、全国信用協同組合連合会より被管理９組合の預金払戻し等業務の継続に必要な資金が供給されることとなり、このうち、関西興銀については、日本銀行により全国信用協同組合連合会を経由して関西興銀の預金払戻し等業務の継続に必要な資金が供給されることとなっている。
   　さらに、被管理９組合が受皿金融機関等へ営業譲渡等を行う際には、預金保険機構が資金援助を行うこととなっている。
   
   
8. 　このような枠組みの下で、被管理９組合の預金等の負債は全額保護され、期日通り支障なく支払われる。また、融資面についても、善意かつ健全な借手への融資は、年末という時期にも配慮し、きめ細かな対応を図ることとするほか、金融庁・各財務局からは関係機関に対し信用供与の円滑化のため万全の対応を行うよう要請を行うので、利用者におかれては心配されることなく、冷静な対応をお願いしたい。
   　

（別紙）

信用組合関西興銀の概要

東京商銀信用組合の概要

朝銀青森信用組合の概要

朝銀宮城信用組合の概要

朝銀島根信用組合の概要

朝銀広島信用組合の概要

朝銀山口信用組合の概要

朝銀福岡信用組合の概要

朝銀長崎信用組合の概要

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