(注1)混合アプローチの考え方
1.事業体の種類に基づくアプローチ
積極的にリスク管理する企業とそれ以外の企業に分け、前者には時
価基準、後者には原価基準を適用するアプローチ
2.経営者の意図の相違に基づくアプローチ
長期又は満期まで保有する意図の金融商品を原価で評価し、短期的
な売買を意図して保有する金融商品を時価で評価するアプローチ
3.デリバティブ取引と非デリバティブ取引を区別するアプローチ
デリバティブ取引は全て時価で評価し、その他の金融商品は原価で
評価するアプローチ
4.デリバティブ取引及びそれによりヘッジされている金融商品は時価
で評価し、その他の金融商品は原価で評価するアプローチ
5.1~4の組合わせによるアプローチ
(注2)包括利益に計上された評価損益が実現した場合、その処理に二つの方法
がある。
1.リサイクルする方法
評価損益を実現時に包括利益から控除して損益計算書に計上する。
この方法によると損益計算書の当期純利益は現行と変わらない。
2.リサイクルしない方法
評価損益が実現しても損益計算書には計上しない。これは、一つの
取引から発生した損益は財務諸表で二重の認識・表示を行うべきでは
ないとの考えによる。
(注3)デリバティブ取引の認識方法
1.権利・義務に着目する方法は、総額基準と純額基準の二つに分類
される。
総額基準:デリバティブ契約に含まれる権利と義務をそれぞれ資産、
負債として認識し、貸借対照表に計上する方法。
純額基準:デリバティブ契約に含まれる権利と義務をそれぞれ資産、
負債として認識するが、双方を相殺し、差額が生じている
場合に貸借対照表に計上する方法。
2.キャッシュ・フローに着目する方法は、将来発生する受取又は支払
キャッシュ・フローの現在価値を資産又は負債として認識する方法で
あり、契約時においては現在価値をネットして差額が生じないことか
ら零として認識する。この考え方は、結果的には上記の純額基準と同
様の処理となる。
(注4)ヘッジ会計の方法には、次のようなものがある。
1.繰延ヘッジ会計
ヘッジ対象物及びヘッジ取引のいずれかについて、先に認識された
損益を、他方に係る損益が認識されるまで繰り延べる方法。この場
合、通常は、時価評価されているヘッジ取引の会計処理を、取得原価
で評価されているヘッジ対象物に合わせることが必要となる。
2.時価ヘッジ会計
ヘッジ対象物及びヘッジ取引のいずれかについて、先に損益が認識
された時点で、他方に係る損益も認識する方法。この場合、通常は、
取得原価で評価されているヘッジ対象物の会計処理を、時価評価され
ているヘッジ取引に合わせることが必要となる。
3.振当方式
外貨建金銭債権債務に為替予約等を振り当てることにより、決済時
における円貨額が確定しているものについては、当該外貨建金銭債権
債務を当該円貨額で換算するという外貨建取引等会計処理基準に定め
る振当方式の方法。