平成27年3月27日
証券取引等監視委員会
大陽日酸株式会社の役員等からの情報受領者らによる内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
- 1.勧告の内容 - 証券取引等監視委員会は、大陽日酸株式会社の役員等からの情報受領者らによる内部者取引について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。 
- 2.法令違反の事実関係 - 課徴金納付命令対象者(1)ないし(8)は、大陽日酸株式会社(以下「大陽日酸」という。)の役員または社員から、株式会社三菱ケミカルホールディングス(以下「三菱ケミカルホールディングス」という。)の業務執行を決定する機関が大陽日酸株式の公開買付けを行うことについての決定をした旨の公開買付けの実施に関する事実の伝達を受けながら、この事実が公表された平成26年5月13日午後3時より前に、下記のとおり、大陽日酸株式を買い付けたものである。 - 課徴金納付命令対象者(9)は、大陽日酸の取引先の社員であるが、同社の役員が大陽日酸の社員から職務上伝達を受けた、三菱ケミカルホールディングスの業務執行を決定する機関が大陽日酸株式の公開買付けを行うことについての決定をした旨の公開買付けの実施に関する事実を、その職務に関し知りながら、この事実が公表された平成26年5月13日午後3時より前に、下記のとおり、大陽日酸株式を買い付けたものである。 - 上記公開買付けの実施に関する事実は、三菱ケミカルホールディングスの役員から、大陽日酸の役員がその職務に関し伝達を受け、その後、上記の大陽日酸の役員及び社員がその職務に関し知ったものである。 - ○課徴金納付命令対象者(1) - 課徴金納付命令対象者(1)は、平成26年5月9日、自己の計算において、大陽日酸株式合計4万株を買付価額合計3164万4000円で買い付けたものである。 
- ○課徴金納付命令対象者(2) - 課徴金納付命令対象者(2)は、平成26年5月9日、自己の計算において、大陽日酸株式合計3000株を買付価額合計236万円で買い付けたものである。 
- ○課徴金納付命令対象者(3) - 課徴金納付命令対象者(3)は、平成26年5月8日、自己の計算において、大陽日酸株式合計2万5000株を買付価額合計1979万1000円で買い付けたものである。 
- ○課徴金納付命令対象者(4) - 課徴金納付命令対象者(4)(法人)は、平成26年5月13日午後2時7分頃及び同日2時8分頃、自己の計算において、大陽日酸株式合計2万株を買付価額合計1780万円で買い付けたものである。 
- ○課徴金納付命令対象者(5) - 課徴金納付命令対象者(5)は、平成26年5月13日午前10時13分頃、自己の計算において、大陽日酸株式合計1万株を買付価額合計897万円で買い付けたものである。 
- ○課徴金納付命令対象者(6) - 課徴金納付命令対象者(6)は、平成26年5月8日、自己の計算において、大陽日酸株式合計1万3000株を買付価額合計1029万6000円で買い付けたものである。 
- ○課徴金納付命令対象者(7) - 課徴金納付命令対象者(7)(法人)は、平成26年5月8日、自己の計算において、大陽日酸株式合計5万株を買付価額合計3960万円で買い付けたものである。 
- ○課徴金納付命令対象者(8) - 課徴金納付命令対象者(8)は、平成26年5月8日及び同年5月9日、自己の計算において、大陽日酸株式合計1万4000株を買付価額合計1105万4000円で買い付けたものである。 
- ○課徴金納付命令対象者(9) - 課徴金納付命令対象者(9)は、平成26年5月9日、自己の計算において、大陽日酸株式合計4000株を買付価額合計312万4000円で買い付けたものである。 
 - 課徴金納付命令対象者(1)ないし(9)が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第2項に規定する「第167条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。 
- 3.課徴金の額の計算 - 上記の違法行為に対し、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、以下のとおりである。 - 課徴金納付命令対象者(1)503万円 - 課徴金納付命令対象者(2)39万円 - 課徴金納付命令対象者(3)313万円 - 課徴金納付命令対象者(4)54万円 - 課徴金納付命令対象者(5)20万円 - 課徴金納付命令対象者(6)162万円 - 課徴金納付命令対象者(7)625万円 - 課徴金納付命令対象者(8)178万円 - 課徴金納付命令対象者(9)54万円 - 計算方法の詳細については、別紙のとおり。 
(別紙)
○課徴金の額の計算方法について
金融商品取引法第175条第2項に基づき、課徴金の額は、
(公開買付け等の実施に関する事実が公表された後2週間における最も高い価格)×(買付株数)
-(買付価格)×(買付株数)
となる。
したがって、公開買付け等の実施に関する事実の公表後2週間における大陽日酸の最も高い株価は、917円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
- 課徴金納付命令対象者(1) - (917円×40,000株) - 買付価額31,644,000円(注) - =5,036,000円 - ⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、503万円 - (注)買付価額は、「790円×12,000株+791円×12,000株+792円×16,000株」の合計額である。 
- 課徴金納付命令対象者(2) - (917円×3,000株) - 買付価額2,360,000円(注) - =391,000円 - ⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、39万円 - (注)買付価額は、「786円×1,000株+787円×2,000株」の合計額である。 
- 課徴金納付命令対象者(3) - (917円×25,000株) - 買付価額19,791,000円(注) - =3,134,000円 - ⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、313万円 - (注)買付価額は、「791円×9,000株+792円×16,000株」の合計額である。 
- 課徴金納付命令対象者(4) - (917円×20,000株) - 買付価額17,800,000円(注) - =540,000円 - ⇒課徴金の額は、54万円 - (注)買付価額は、「890円×20,000株」の額である。 
- 課徴金納付命令対象者(5) - (917円×10,000株) - 買付価額8,970,000円(注) - =200,000円 - ⇒課徴金の額は、20万円 - (注)買付価額は、「897円×10,000株」の額である。 
- 課徴金納付命令対象者(6) - (917円×13,000株) - 買付価額10,296,000円(注) - =1,625,000円 - ⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、162万円 - (注)買付価額は、「792円×13,000株」の額である。 
- 課徴金納付命令対象者(7) - (917円×50,000株) - 買付価額39,600,000円(注) - =6,250,000円 - ⇒課徴金の額は、625万円 - (注)買付価額は、「792円×50,000株」の額である。 
- 課徴金納付命令対象者(8) - (917円×14,000株) - 買付価額11,054,000円(注) - =1,784,000円 - ⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、178万円 - (注)買付価額は、「789円×10,000株+791円×4,000株」の額である。 
- 課徴金納付命令対象者(9) - (917円×4,000株) - 買付価額3,124,000円(注) - =544,000円 - ⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、54万円 - (注)買付価額は、「781円×4,000株」の額である。 


