平成26年6月11日
証券取引等監視委員会
証券取引等監視委員会の事務処理状況の公表について
証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」という。)は、金融庁設置法第22条の規定に基づき、毎年、事務処理状況等を公表しています。今回は、その22回目として、平成25年度(平成25年4月1日~同26年3月31日)の「証券取引等監視委員会の活動状況」を公表します。
公表内容の主なポイント
第1章:組織
第2章:証券監視委の活動方針
第8期体制(平成25年12月発足)の活動方針(平成26年1月公表)について、その策定の背景と基本的な考え方を掲載
-  1.証券監視委の使命 -  ○ 市場の公正性・透明性の確保 
-  ○ 投資者の保護 
 
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-  2.基本的な考え方 -  (1) 機動性・戦略性の高い市場監視 
-  (2) 市場のグローバル化に対応した監視力の強化 
-  (3) 市場規律の強化に向けた取組み 
 
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-  3.重点施策 -  (1) 情報力に支えられた機動的な市場監視 
-  (2) 重大・悪質な不公正取引や虚偽記載等への厳正な対応 
-  (3) ディスクロージャー違反に対する迅速・効率的な開示検査の実施 
-  (4) 不公正取引等に対する課徴金制度の活用 
-  (5) 検査対象先の特性に応じた効率的かつ実効性ある証券検査の実施 
-  (6) 詐欺的な営業を行う悪質業者等への対応 
-  (7) 情報発信の充実 
-  (8) 自主規制機関等との連携 
 
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第3章 市場分析審査
-  1.一般投資家等からの情報の受付 -  受付件数6,401件(6,362件) 
-  (内訳) -  ・個別銘柄に関するもの4,040件(3,751件) 
-  ・発行体に関するもの402件(436件) 
-  ・金融商品取引業者の営業姿勢等に関するもの907件(790件) 
-  ・その他の意見等1,052件(1,385件) 
-  * カッコ書きは平成24年度の件数 
 
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-  (参考)証券監視委ウェブサイトの情報提供窓口の改修(平成26年3月) -  ・情報提供者がより便利に利用できるよう入力様式を変更 
-  ・「提供いただきたい情報の例」を掲載 
 
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-  2.市場動向分析 -  ○ 発行市場・流通市場全体に目を向けた市場監視 -  ・不公正ファイナンスへの対応、ノンコミットメント型ライツ・オファリングの動向 等 
 
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-  ○ 新たな金融商品等の実態把握を含めた包括的かつ機動的な市場監視 -  ・市場における新たな取引等(高頻度取引(HFT)やアルゴリズム取引等)の実態把握 等 
 
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-  3.取引審査 -  1,043件の取引審査を実施(973件) 
-  (内訳) -  ・価格形成に関するもの86件(84件) 
-  ・内部者取引に関するもの943件(875件) 
-  ・その他(偽計等)14件(14件) 
-  * カッコ書きは平成24年度の件数 
 
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第4章 証券検査
-  1.検査の実施状況 第一種金商業者(69社)、登録金融機関(9社)、投資運用業者(16社)、第二種金商業者(108件)、投資助言・代理業者(29社)、適格機関投資家等特例業務届出者(23社)等、多様な業態をカバー -  ○ 全体で271社〔着手ベース〕の検査を実施 
-  (注)検査対象先は、全体で延べ約8,000社(平成25年度末時点) 
-  ○ 大手証券会社グループについて、監督部局と連携したオン・オフ一体の検査・モニタリングを開始 
-  ○ MRI問題等を踏まえ、第二種金商業者に対して重点的に検査を実施。登録事項検査も実施した結果、前年度比88件増の108件の検査を実施 
-  ○ 検査等の結果、重大な法令違反等が認められた18件について、行政処分を求める勧告を行い、これら事案を含め、法令違反や内部管理態勢等の問題点が認められた118社に対して、問題点を通知 
 
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-  2.主な勧告事例 -  ○ 第一種金融商品取引業者 -  ・円LIBORに係る不適切な行為、親法人等からの顧客に関する非公開情報を受領する行為(アール・ビー・エス・セキュリティーズ・ジャパン・リミテッド) 
-  ・厚生年金基金の役職員に対し特別の利益を提供している状況(ドイツ証券(株)) 
 
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-  ○ 第二種金融商品取引業者 -  ・出資金の流用、顧客に対する虚偽告知(MRIインターナショナル) 
 
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-  ○ 投資助言・代理業者 -  ・無登録で海外ファンドの募集又は私募の取扱いを行っている状況(アブラハム・プライベートバンク(株)) 
 
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-  ○ 投資運用業者 -  ・誤解表示(プラザアセットマネジメント(株)) 
-  ・年金基金関係者に対し特別の利益を提供している状況((株)ケートス・キャピタル・パートナーズ) 
 
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-  3.適格機関投資家等特例業務届出者に対する検査結果等の公表 -  ○ 出資金の流用、顧客に対する虚偽告知等重大な法令違反等が認められた11件の検査結果を公表 
 
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-  4.無登録業者等に対する裁判所への禁止命令等の申立て -  ○ 2件の申立てを実施 -  ・無登録金商業(ファンドの私募等の取扱い)の禁止((株)ライフステージ他2名) 
-  ・無登録金商業(ファンドの私募等、運用)の禁止(アイエムビジョン(株)他1名) 
 
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第5章 取引調査
-  取引調査の結果に基づく勧告状況 -  35件の勧告を実施(25件)(国際取引等調査に基づくものを除く) 
-  (内訳) -  内部者取引28件(13件)、相場操縦7件(12件) 
-  * カッコ書きは平成24年度の件数 
 
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-  ○ 勧告事例 -  ・株式会社ネクスとの契約締結交渉者の役員及び同人からの情報受領者による内部者取引(平成26年2月7日勧告) 
-  → 他人名義の口座を利用して内部者取引を行うとともに、他者にも重要事実を伝達し、伝達を受けた情報受領者3名が内部者取引を行った事案 
-  ・マミーマート株式ほか1銘柄に係る相場操縦(平成25年5月28日勧告) 
-  → 地方の居住者が、自己名義の口座のほか知人名義の口座も用いたインターネット取引により相場操縦を行った事案 
 
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第6章 国際取引等調査
-  国際取引等調査の結果に基づく勧告状況 -  7件の勧告を実施(7件) 
-  (内訳) -  内部者取引4件(6件)、相場操縦2件(1件)、偽計1件(0件) 
-  * カッコ書きは平成24年度の件数 
 
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-  ○ 勧告事例 -  ・大型公募増資公表前に行われた内外プロ投資家によるインサイダー取引に対し、4件の課徴金納付命令勧告を実施 
-  ・ウェッジホールディングス株式に係る偽計事案は、偽計事案に係る初めての課徴金勧告であり、不公正取引に係る課徴金額としては過去最高金額(40億9,605万円) 
 
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-  ○ 海外証券規制当局との連携 -  ・シンガポール通貨監督庁 -  ‐ ジャガーノート・キャピタル・マネジメント・ピーティーイー・リミテッドによる相場操縦事案 
-  ‐ MAM PTE. LTD. による内部者取引事案 
 
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-  ・タイ証券取引委員会 -  ‐ ウェッジホールディングス株式に係る偽計事案 
 
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-  ・オンタリオ証券委員会 -  ‐ セレクト・バンテイジ・インクによる相場操縦事案 
 
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第7章 開示検査
-  開示検査の結果に基づく勧告状況 -  10件の勧告を実施(10件) 
-  (内訳) -  ・開示書類の虚偽記載に対する課徴金納付命令勧告9件(9件) 
-  ・訂正報告書等の提出命令の発出を求める勧告1件(1件) 
-  * カッコ書きは平成24年度の件数 
 
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-  ○ 勧告事例 -  ・架空売上の計上、売上原価の不計上、投資有価証券の過大計上、のれんの過大計上、前受金の過少計上、貸倒引当金の過少計上等、多岐にわたる虚偽記載の態様について勧告 
-  ・「重要な事項について虚偽の記載がある」開示書類を提出した発行者に対し訂正報告書等の提出命令を勧告 
-  (注)勧告に至らない場合でも、自発的な訂正を促している(平成25年度3件) 
 
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第8章 犯則事件の調査・告発
-  1.告発の状況 -  3件の告発を実施(7件) 
-  (内訳) -  内部者取引1件(2件)、相場操縦1件(0件)、風説の流布1件(0件) 
-  * カッコ書きは平成24年度の件数 
 
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-  2.告発事例 -  ○ イー・アクセス株券に係るイー・アクセス社員による内部者取引事件 -  【平成25月4月】 
-  → 発行会社の代表取締役付き秘書であった犯則嫌疑者が、同社が他社と業務提携し、その親会社との株式交換を行うという重要事実が公表される前に多数の同社株を買い付けたという会社関係者による内部者取引事件 
 
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-  ○ セントラル総合開発株式会社株券に係る相場操縦事件 -  【平成25年7月】 
-  → 犯則嫌疑者が自分の証券口座と借名口座を使い、仮装売買(対当売買)に加え、買い上がり買付けや下値に大量の見せ玉を発注するといった手法による相場操縦事件 
 
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-  ○ 電子掲示板を悪用した風説の流布事件 -  【平成26年3月】 
-  → 犯則嫌疑者が、自らが買い付けた株を高値で売却することを目的として、株に関するインターネット掲示板にそれらの株が暴騰するといった根拠のない書き込みを繰り返し実行。ネット掲示板の書き込みによる風説の流布としては2件目の告発 
 
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第9章 建議
-  証券監視委の建議に基づいて執られた措置 -  ○ 信用格付を提供し、又は閲覧に供する行為に係る正確性の確保についての建議(平成25年3月29日建議) -  ・信用格付業者に対する検査において、社内で決定・付与された信用格付を提供し又は閲覧に供する行為(以下「公表等」という。)を行う際に、誤って異なる信用格付を公表等している事例が認められた 
-  ・しかし、現行の制度では、信用格付業者に対して、信用格付の公表等に係る正確性の確保を直接求める制度になっていないため、建議を実施 
-  → これを踏まえ、金融庁は、「金融商品取引業等に関する内閣府令」を改正し、信用格付業者が整備を求められる業務管理体制の一環として、信用格付の公表等に係る正確性を確保するための体制を規定し、平成25年9月2日に施行 
 
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第10章 市場のグローバル化への対応に向けての取り組み
-  1.情報交換枠組みの活用 クロスボーダー取引による違反行為に対し、証券規制当局間の情報交換枠組み等を通じた海外証券規制当局からの情報提供などにより、1件の行政処分勧告、4件の課徴金納付命令勧告を実施 
-  2.意見交換 米国、英国、豪州、香港、タイ等の海外証券規制当局やグローバルに活動する金融機関、国際的な業界団体等との意見交換を実施 
-  3.体制整備及び人材育成 -  ○ クロスボーダー取引等を利用した内外プロ投資家による不公正取引の実態解明を専門に担当する国際取引等調査室を取引調査課に設置(平成23年8月) 
-  ○ 海外証券規制当局における調査・検査手法の情報収集等のため、証券監視委の職員をIOSCO等が主催する海外研修に派遣 
 
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第11章 監視活動の機能強化への取組み等
-  1.市場監視体制の充実・強化 -  ○ 平成26年度の予算要求において、第二種金商業者等に係る情報収集・分析体制及び検査体制の強化を大きな柱として増員要求した結果、13人の増員 -  (証券監視委の平成26年度末の定員は409人) 
 
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-  ○ 民間専門家の採用:弁護士、公認会計士、IT専門家等 -  (平成25年度末現在、122名在籍) 
 
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-  2.システム・インフラの強化 -  ○ デジタルフォレンジックの環境整備 -  ・機材の整備、研修の充実等 
 
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-  3.市場参加者との対話、情報発信 -  ○ 市場参加者に対する講演や意見交換の実施 
-  ○ 各種専門誌への寄稿や証券監視委メールマガジン等を通じた情報発信 
 
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-  4.関係当局等との連携 -  ○ 金融庁、財務局、自主規制機関と定期的な意見交換を実施 
 
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